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犬の目が赤いときは要注意?「どこが赤いか」でわかる原因と受診のサイン

ナディア動物クリニック・動物眼科 院長 瀧本善之
この記事を監修した獣医師
獣医師・獣医眼科学専門医 瀧本 善之 (ナディア動物クリニック・動物眼科 院長)

比較眼科学会眼科学専門医に認定された、動物眼科の専門医です。白内障や緑内障、角膜潰瘍、硝子体などの外科手術から、眼科疾患全般に対応しています。動物たちとそのご家族が、ストレスフリーで生涯を共にすることを理想としています。

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「うちの子、なんだか白目が赤い気がする」そんな変化に気づいても、ワンちゃんが元気に過ごしていると「少し様子を見ようかな」と思ってしまうご家族は多いのではないでしょうか。

目の赤みは、ほこりなどの刺激による一時的なものから、放っておくと視力を失ってしまう病気まで、さまざまな原因で起こります。見た目は同じ「赤い目」でも、その裏に隠れている病気の重さはまったく違うことがあるのです。

このコラムでは、ご家庭でチェックできる「赤みの見え方」のポイントと、目が赤くなる代表的な病気、早めに受診してほしいサインについてご紹介します。

見上げている犬

まずは「どこが、どんなふうに赤いか」を見てみましょう

ひと口に「目が赤い」といっても、赤く見える理由は大きく3つに分けられます。ワンちゃんの目が赤いときは、明るい場所で、どの部分がどのように赤くなっているかをそっと観察してみてください。

犬と女性

①白目の血管が広がって赤い(充血)

目の赤みの中でもっともよく見られるのが充血です。炎症などによって白目の血管が広がり、赤く目立って見える状態で、血管の見え方によってある程度の手がかりが得られます。

細い血管が網目のように広がり、白目全体やまぶたの裏がぼんやり赤い場合は、目の表面をおおう「結膜」の炎症であることが多いです。一方、太い血管が何本か、黒目に向かってくっきりと浮き上がって見える場合は、白目の深い層や目の中で、炎症や眼圧の上昇が起きているサインのことがあり、より注意が必要です。また、白目の一か所がぷっくりと盛り上がるように赤い場合は、白目の深い部分の炎症などが考えられます。

②白目に血がにじんだように赤い(結膜下出血)

白目の表面の下で細い血管が破れ、出血が広がった状態です。血管の筋が見えるのではなく、白目の一部または全体が、べったりと赤く染まったように見えるのが特徴です。目をぶつけたなどのケガや、首輪やリードで首が強く圧迫されたことなどがきっかけになります。

痛みはないことが多く、ほとんどは時間とともに自然に吸収されていきます。ただし、はっきりした原因がないのに繰り返す場合や、両目に起こる場合は、血液が固まりにくくなる病気や高血圧など、全身の病気が隠れていることもあるため、一度検査を受けておくと安心です。

③黒目に血管や赤い組織ができている(角膜の血管新生・肉芽)

黒目の表面をおおう「角膜」は、本来は透明で血管がありません。ところが、角膜の炎症が長く続いたり、深い傷を治そうとしたりすると、白目のほうから黒目に向かって血管が伸びてきたり(血管新生)、赤く盛り上がった組織(肉芽)ができたりして、黒目が赤く見えることがあります。

角膜潰瘍やドライアイ(乾性角結膜炎)、慢性的な角膜炎などで見られることがあり、黒目の病気が起きている、あるいは長引いているサインです。

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ただし、これらはあくまで目安です。いくつかの赤みが重なっていることも多く、ご家庭で正確に見分けるのは簡単ではありません。「どんな赤みだったか」を受診の際にお伝えいただくだけでも、診察の大切な手がかりになります。さらに、スマートフォンで撮影したものを見せていただけると確実です。

目が赤くなる主な病気

ここでは、①の充血を起こす代表的な病気を3つご紹介します。

結膜炎

結膜炎は、まぶたの裏や白目の表面をおおう結膜に炎症が起きる病気で、目の赤みの原因としてもっとも身近なものです。ほこりや花粉、シャンプーなどの刺激、アレルギー、細菌やウイルスの感染などがきっかけになります。白目やまぶたの裏がぼんやり赤くなり、目やにや涙が増えたり、目をかゆがったりする様子がみられます。

多くは点眼などの治療で落ち着きますが、注意していただきたいのは、ほかの目の病気でも結膜炎とよく似た赤みが出るということです。「結膜炎だと思っていたら、実は緑内障だった」というケースもあるため、赤みがなかなか引かないときや、痛がる様子があるときは、あらためてしっかりと検査を受けることをおすすめします。

強膜炎

強膜とは、いわゆる「白目」の部分をつくっている丈夫な膜のことです。強膜炎は、この白目の深い層に炎症が起きる病気で、白目の一部が盛り上がったように赤くなったり、太い血管が目立ったりします。
強膜炎は、体の免疫の働きが関わって起こるものが多いと考えられており、表面の炎症である結膜炎とは治療の考え方が異なります。炎症が長引くと目の中にまで影響が広がることもあるため、目の状態を詳しく調べたうえで、炎症をしっかり抑える治療を続けていくことが大切です。

緑内障

緑内障は、目の中の圧力(眼圧)が高くなることで視神経が傷つき、視力が失われていく病気です。眼圧が上がると、白目に太い血管がくっきりと浮き出るような赤みが見られることがあります。このほか、目をしょぼしょぼさせる、黒目が青白く濁る、痛みで元気がなくなるといった様子がみられることもあります。

緑内障は進行がとても早く、眼圧が高い状態が続くと、短時間で視力が失われてしまうこともある、まさに時間との勝負といえる病気です。柴犬やアメリカン・コッカー・スパニエルなど、緑内障になりやすい犬種のワンちゃんで目の赤みに気づいたときは、様子を見ずにすぐに受診してください。

緑内障についてのコラムはこちら

こんな症状があれば早めの受診を

  • 目をしょぼしょぼさせる、目を開けにくそうにしている
  • 前足で目をこする、顔を床や家具にこすりつける
  • 黒目が白っぽく、または青っぽく濁っている
  • 片方の目だけが急に赤くなった
  • 白目に太い血管が浮き出ている、白目の一部が盛り上がっている
  • 白目が血のようにべったり赤い状態を繰り返す、両目に起こる
  • 黒目に赤い血管や、赤い盛り上がりが見える
  • 目やにや涙が急に増えた
犬

特に目を痛がる様子がある場合は、緑内障のほか、黒目の表面に傷ができる角膜潰瘍などの可能性もあります。どちらも治療が遅れると視力に影響することがあるため、早めに動物病院で診てもらいましょう。

受診までの間は、ワンちゃんが目をこすって症状を悪化させないよう気をつけてあげてください。また、人間用の目薬は成分がワンちゃんに合わないことがあるため、自己判断で使うのは避けましょう。赤みは時間帯によって見え方が変わることもあるので、気づいたときにスマートフォンで目の写真を撮っておくと、診察の際に役立ちます。

動物病院では、眼圧の測定をはじめとした目の検査で、赤みの原因を詳しく調べることができます。気になることがあれば、遠慮なく獣医師にご相談ください。

まとめ

「目が赤い」という症状は、よくある目のトラブルのひとつですが、その原因は目の表面の軽い炎症から、視力に関わる目の奥の病気までさまざまです。

血管が広がって赤いのか、血がにじんだように赤いのか、黒目に血管や赤い組織ができているのか。赤みの見え方は、原因を探る大切なヒントになります。ただし、ご家庭で病気を見分けるのは難しいため、「いつもと違う」と感じたら、自己判断で様子を見ずに早めに動物病院を受診しましょう。

大切なワンちゃんの目を守るために、日ごろから目の様子を気にかけてあげてくださいね。

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